最終更新日 2024年11月1日
矢口敏和さんが映画館の魅力を解説
最近、「映画は見るが映画館に行って鑑賞はしない」という人が増えているといいます。
実際にシアターに行っても、土日以外だとお客さんがまばらなことが多く、貸し切り状態のようになっている場合もあります。
観たい作品があってもシアターに足を運ぶのではなく、DVD化されたりネットのサービスで配信されるのを待つという意見の人が多いのです。
なぜ、シアターへ来場するという人が減ってきているのでしょうか。
ひとつは映画を観るための料金にあります。
サービスデイなどの割引がある際を除くと大人料金は平均1800円ですが、この料金が高すぎると感じる人が増えてきているのです。
DVDレンタルなどで映画を借りるのであれば、新作であってもその3分の1以下の値段で見ることができてしまいます。
またシアターが近くにない場合などはその場所への交通費や駐車代金など他の費用がかかってしまいます。
デフレーションによって様々な物の値段が下がってきている今、1800円を使ってできる娯楽が他にもたくさんあるため選ばれにくくなっているのです。
ですが、この高いと思われているチケット代でも赤字になることも多いそうです。
ポップコーンやドリンクなどの売り上げでなんとか利益を出そうとしている状態になっています。
2時間ずっと座っているのが苦痛な人も多い
また、鑑賞中の時間についても様々な意見を持つ人がいます。
2時間前後の作品が多いですが、その時間ずっと座っているのが苦痛だと感じる人がいるのです。
家でDVDなどで見ている場合は、好きなときに停止をしたり早送りをしたりすることができますがシアターで観ている場合はそのようなことは不可能になります。
自分の時間を自由に使いたいと思う人は、拘束されずに見たいと考えるのです。
映画好きの矢口敏和さんからすれば、このあたりは理解できないと言っています。
最近の若い人の間では同じ理由で時間によって決まっているテレビ番組を見るよりも自由にいつでも見られるユーチューブなどを楽しむ時間の方が多いという声もあります。
このように映画館離れがすすんでいる現代ですが、シアターでは来場者が増えるように通常の上映に加え様々な企画を打ち出しています。
「応援上映」や「絶叫上映」などです。
こちらは、みんなで盛り上がりながら観たいという声にこたえて上映中の声かけや絶叫などをOKとしている上映で、会場全体で一体感を感じることができとても人気の企画です。
普段の上映では他の人に迷惑をかけないように、静かに鑑賞するというマナーが必要ですが、みんなで一緒に盛り上がりたいという人が集まるので自由に鑑賞することが可能になり、ライブやコンサートのような雰囲気で観ることができます。
一度味わうとその楽しさからリピーターも増えていると言います。
座席が動くのでアトラクションのような体験ができる
都市部のシネマでは、3D上映だけでなく4DX上映なども行っています。
こちらは画面が飛び出してくる3Dに加え、席が動いたり水や風、香りなどを使った仕掛けがあったりとより身体中で作品を楽しむことができる仕組みとなっているのです。
思ったよりも大きく座席が動くので、はじめて体験する際には驚くかもしれません。
料金は通常よりもさらに高くなりますが、アトラクションのような体験ができるのでそれほどの価値があると言えます。
デートや友達と楽しむのにもぴったりです。
他には、ミニシアターなどでテーマに沿って上映作品をセレクトするテーマ上映などもあり、多くの人が集まっています。
オールナイト上映などもあり、過去に上映されレンタル化などがされていない作品などを観られる機会としてファンは足を運びます。
今ヒットしている作品に関連した作品などを上映してくれるなど、シネマファンに嬉しい企画を組むことができるのは、ミニシアターの特権です。
矢口敏和さんのような映画好きが映画をおすすめする理由とは?
このような企画も、実は映画好きの人の間には伝わっているけれども、普段からシアターに行かない人には情報自体が伝わっていないことが多いのではないかと感じます。
シアターに行くのはちょっと、と考えている人にこそ久しぶりに足を運んでもらい、ゆっくり集中しながら鑑賞する時間をとってもらいたいものです。
忙しい日々の中、ひとつの作品に没頭することによってかけがえのない時間を過ごすことができるのではないでしょうか。
もしも自由に使える時間ができたら、ふらっとシアターに立ち寄ってみてください。
観たい作品があればなおさらですが、目的なく行ってみてそこで気になった作品を観るというのも乙なものです。
素晴らしい作品との出会いがあるかもしれません。
様々な企画に参加するのも楽しいですし、通常の上映でも普段家などで観るのとは全然雰囲気が違う中で観ることができ、新鮮に感じることができると思います。
大きいスクリーンと迫力のある音響の中で観ると作品の魅力も上がるような気がしてくるでしょう。
暗い館内に、一緒に作品を観ている知らない人たち、ポップコーンのにおいに包まれながら、独特の雰囲気の中で観る作品はいつもよりも少し変わった感想を抱けるかもしれないと矢口敏和さんはアドバイスしています。